アルフェラッソ聖人



今日は朝から町は大騒ぎだ。
父さんも母さんも落ちつかない様子で家を出たり入ったりして僕の前を通りすぎる。

学校は昨日で終わりだと先生が言った。
その日、天から僕たちにお告げがあったことと関係があるらしい。

街の鐘が鳴るのとは全く違って、その音はまるで大地の裂け目から噴き出したような音だった。

――――そう、金管楽器のような。
けれど僕たちが考えていたものとは違い、美しい旋律などではなかった。

僕たちはようやくこの日が来たと悟った。
出稼ぎに行った兄さんと連絡を取ったり、隣町に住むおじさん夫婦を心配している両親をおいて僕は家を離れた。

アルフェラッソ聖人が祀られているあの丘へ僕たちは行かなくてはならない。大地の祝福はここに集まって世界をよろこびで満たすのだという。

クラスメイトが僕に気づいて手を上げる。

「待ちに待ったかいがあったな」

学校に行けなくなるのは淋しいけれど、と僕たちは笑いあった。天空へと呼応する咆哮を聴きながら。ああ、すばらしい日がやってくる。



※お題058「記念日」





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