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《《 最新話 》》
2022年11月02日:『うみわたり』更新しました。







:140字のつぶやき。


:原稿用紙一枚分のお話。

2022/10/12

140字 (No.046~050)






No.046
キラキラ光る万華鏡。こっちが光るの、綺麗だわ。あっちが光るの、綺麗だわ。一体どっちがキレイなの。どのきらめきも綺麗なの。たくさんの輝きが一つになって届くのに、どれが本物かわからない。写し出されているものは、幻のかがやき。あらあら、あなた。これを真実というのよ、ご存じだったかしら。




No.047
あの話を僕は知っているはずなのに。あの話を僕はまるでどこかのお話で、自分に関係ないと思っている。すべての物語は僕が読んだときに僕のものになる。そのお話で僕は何を知った、何を感じた、何を思ったか。それは、今の僕が体験したものなのだ。だからそれは僕自身であり、真実で現実のものなのに。




No.048
沈黙、沈黙。沈黙…。本当のことに気づくとき、僕たちはすべてを知ることになる。けれどそれに気づくにはあまりにも僕たちは多くの代償を支払わなければならない。得たものをすべて捨て去ることなど…一握りの人しか…。いや、もう…誰もできない。僕たちはもう、閉じ込められて殻に閉じこもったまま。




No.049
ぽつんと帰るあの子を見てる。遠くでカラスが鳴いて気がつくだろう。夕焼けがつくるながい影に。一緒に帰ろう、と心でつぶやくあの子がいるよ。ぽつんと帰る、友だちと分かれた帰り。またね、と交わしたいつもの会話。それが明日に続く毎日の終わりの始まりで。また、明日。色褪せない日々のしあわせ。




No.050
もう後戻りはできない。未来が現実になってしまったから。だれが気づけたのか。だれがあの忠告に耳を傾けられたのか。僕らは未来に到達したことをいつ実感するのだろう。僕たちはきっと世界が変わったことに気づかないまま、あの人の沈黙に耳を傾けることなく世界から消えていく。それがシアワセだと。